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借地権の存続期間はどのぐらい?

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借地権の存続期間はどのぐらい?

土地は人に貸してしまったら戻ってこないという話をよく耳にします。

これが本当であれば、借地権の存続期間に終わりが無いということになります。

実際のところはどうなのでしょうか。

借地権の存続する期間について、借地権を設定する際の契約、借地に関する法律、借地契約が終了する事由などから解説していきます。

本記事のポイント

●借地権の存続期間を理解しましょう。
●借地権の契約・法律まわりを理解しましょう。

1.借地権の種類と存続期間

土地を貸してしまったら地主に戻ってこないというのは、借地権の一面を大袈裟に表しているともいえます。

確かに地主になかなか戻ってこないというケースはありますが、全てという訳ではありません。

近年では一定年数が経過した後に必ず地主に土地が戻ってくる借地契約も存在します。

貸した土地が戻ってこない期間というのは、土地に設定した借地権が存続する期間ということです。

借地権の存続期間は借地権の種類と密接な関係にあります。

(1)借地借家法の適用を受ける借地権

借地権とは建物の所有を目的とする地上権又は賃借権のことです。

借地権に該当すると、借地借家法が適用されます。

借地借家法は平成4年から施行されている法律で借地契約や借家契約などについて定められています。

その立法趣旨は借主を保護することです。

また、借地借家法の施行以前に設定された借地については旧借地法が適用となり、旧借地法も借主保護を目的とした法律となっていました。

なお、建物の所有を目的とせず駐車場や資材置場などとしての使用を前提とした土地の賃貸借は借地権ではないために借地借家法などの適用はありません。

このような借地借家法の適用が無い土地賃貸借では、原則、民法の規定により契約期間の定めが無ければ解約申入で契約が終了します。

契約期間の定めがあっても解約申入を可能とする特約があれば契約期間中であっても解約が可能です。

解約申入は賃借人、賃貸人いずれからでもできます。

この点において民法の特別法である借地借家法が適用される借地権契約では賃貸人からの解約申入を認める特約があったとしても、当該特約は無効となります。

地主による解約申入を認めてしまうと、建物を所有する借地権者にとって大変不利なことであり借地権者の保護に欠けるためです。

一方で借地権者からの解約申入については有効です。

これは、地主の安定した地代収入が保護されないことになりますが、借地借家法は地主の保護を優先していないことによります。

(2)借地権の種類と存続期間

借地権は法律によって定めによって種類を分けることができ、当該種類によって借地権の存続期間が変わってきます。

借地権の種類は、

  1. 借地借家法施行前の借地法(旧借地法)の借地権、借地借家法の
  2. 普通借地権
  3. 一般定期借地権
  4. 事業用定期借地権
  5. 建物譲渡特約付借地権
  6. 一時使用目的の借地権に分けられます。

①旧借地法の借地権

借地借家法の施行以前に契約された借地権については旧借地法が適用となり、更新についても同様に旧借地法が適用となります。

旧借地法では借地契約による借地権の存続期間を、契約当初の期間と更新による期間とに分け、さらに借地上の建物の構造の種類によって分けています。

借地上の建物の種類は堅牢性が十分に高い堅固建物とそれ以外の非堅固建物に分けられます。

堅固建物とは鉄骨鉄筋コンクリート造のビルやマンションなどのことで、非堅固建物とは堅固建物に該当しない木造住宅などのことです。

イ.契約当初の借地権の存続期間

(イ)存続期間の合意がない場合

旧借地法では堅固建物を所有する目的の借地権の存続期間は60年、非堅固建物の場合は30年と定めています。

(ロ)存続期間の合意がある場合

存続期間の合意による年数は、上記の年数よりも優先して適用となります。

しかし、堅固建物は30年、非堅固建物は20年を最低限の期間とし、これを下回る期間の合意は無効となり、存続期間の合意がない場合と同じ存続期間となります。

ロ.更新後の借地権の存続期間

旧借地法における借地権は、地主による更新拒絶が認められる又は地主と借地権者双方の合意による解除が行われない限り、原則、更新が行われることになります。

更新拒絶には厳しい制約があるため、地主の希望で契約を終了させることは実際のところ難しいといえます。

(イ)更新後の存続期間に合意がない場合

旧借地法では堅固建物を所有する目的の借地権の更新後の存続期間は30年、非堅固建物の場合は20年と定めています。

(ロ)更新後の存続期間に合意がある場合

契約当初の借地権の存続期間と同様の取扱いとなりますが、堅固建物は30年、非堅固建物は20年を最低限の期間とします。

②普通借地権

平成4年8月以降に最初の契約が締結された借地権は借地借家法が適用となります。

借地借家法では旧借地法と異なり借地権の存続期間を借地上の建物の構造等で分けてはいません。

イ.契約当初の借地権の存続期間

(イ)存続期間の合意がない場合

借地借家法では30年と定めています。

(ロ)存続期間の合意がある場合

存続期間の合意は、上記の借地借家法の定めよりも優先して適用となります。しかし、30年を最低限の期間とし、これを下回る期間での合意は無効となります。

ロ.更新後の借地権の存続期間

借地借家法では更新後の借地権の存続期間を1回目の更新と2回目以降の更新とで分けています。

なお、借地借家法の借地契約も旧借地法と同様に原則更新となります。

(イ)更新後の存続期間に合意がない場合

借地借家法では更新後の借地権の存続期間を1回目が30年、2回目以降は20年と定めています。

(ロ)更新後の存続期間に合意がある場合

契約当初の借地権の存続期間と同様の取扱いとなりますが、1回目30年、2回目以降20年を最低限の期間とします。

③一般定期借地権

借地借家法では、一般定期借地権などの定期借地権が創設されました。

これらの定期借地権は契約で定めた期間を経過すると地主に土地が返還されることが大きな特徴です。

従来の土地は一度貸したら戻ってこないというイメージを払拭し、不動産市場における借地市場を活性化させ、土地の有効利用を促進することを目的としています。

一般定期借地権は借地上の建物の用途に制限はありません。

借地権の存続期間は50年以上で設定します。

特約で契約の更新、存続期間の延長、借地上の建物の買取請求を排除し、期間満了により借地権は終了します。

なお、契約期間満了時に借地上の建物を借地権者が取り壊し、更地にして地主に土地を返す必要があります。

④事業用定期借地権

事業用定期借地権も特約によって契約の更新、存続期間の延長、借地上の建物の買取請求を排除し、期間満了により借地権は終了します。

事業用定期借地権の存続期間は10年以上50年未満で設定します。

なお、一般定期借地権と同様に契約期間満了時に借地上の建物を借地権者が取り壊し、更地にして地主に土地を返す必要があります。

⑤建物譲渡特約付借地権

建物譲渡特約付借地権では、契約期間満了時に借地上の建物を地主が買取ることとなっており、借地権が更新されずに終了します。

⑥一時使用目的の借地権

一時使用目的の借地権とは、工事現場の仮設事務所など一時的な建物の所有を目的とした借地権のことです。

一時使用目的の借地権の存続期間については法による具体的な定めはありません。

一般的に短い存続期間であることが必要ですが、客観的にみて使用目的が明らかに一時的なものとして認められれば1年を超える期間であっても問題が無いとされています。

なお、存続期間の更新はありません。

2.借地権の存続期間の更新と終了

定期借地権は更新が無いために借地権の存続期間が契約時点で明瞭になっています。

一方で、旧借地法の借地権と借地借家法の普通借地権は、当初の契約によって定めた借地権の存続期間が満了しても原則として更新されるため借地権の存続期間も延長となります。

以下に旧借地法の借地権と借地借家法の普通借地権の借地契約における更新と更新拒絶による借地権の存続期間の終了について解説します。

(1)借地権の存続期間の更新

通常、民法上の原則によると賃貸借は契約によって定めた契約期間の満了によって当該賃貸借は終了し、賃借人は賃貸借の目的物を賃貸人に返還することになっています。

しかし、不動産の場合には借地借家法によって民法上の原則に大きな修正が加えられています。

借地権の存続期間の満了時に借地上に建物があれば借地権者は地主に対して契約の更新請求をし、地主が借地権者の使用継続について異議を述べなければ借地権の存続期間は更新されます。

これを法定更新といいます。

もし、借地権者が更新の請求を行わなかったとしても、借地上に建物が存在し、借地の使用が継続的に行われているのであれば、地主が更新について異議を述べなければ同様に借地権の存続期間は更新となります。

借地上に建物が存在しない場合には、借地権者からの更新請求は原則できませんが、借地権者が土地を継続的に使用している状態であれば借地法では法定更新を認めています。

しかし、借地借家法では法定更新の適用がありません。

そこで借地上に建物が存在しない場合の例外として、従前の契約期間満了に近い時点で借地上の建物が滅失した場合に、

借地権者が建物の再築を予定していた場合や地主が再築を禁止した場合などは建物が存在するのと同様に扱い借地権者による更新請求を認めています。

(2)借地権の更新拒絶による存続期間の終了

地主が更新時に借地の存続期間を終了させようとした場合、借地権者から期間満了の合意が得られなければ、更新拒絶を申し出ることになります。

更新拒絶が認められるには正当事由を備える必要があります。正当事由は以下の4つに分類されます。

①土地の使用を必要とする事情

4つの正当事由のなかで最も重視される項目で、地主と借地権者双方の事情が比較され、地主が借地権者よりも土地を必要とする事情が存することが必要です。

②借地権に関する従前の経緯

借地契約締結の経緯、借地の存続期間、一時金の授受の有無、地代の支払い状況など地主と借地権者との間で発生した事象などが正当事由の判定に用いられます。

たとえば、地代の支払いが滞りがちであれば更新拒絶の正当事由を肯定する要素となります。

③土地の利用状況

借地上の建物の種類や利用形態などが考慮されます。

例えば借地上の建物の老朽化が進み、利用に適さない状態にあれば、地主側の正当事由となる可能性が高くなります。

④財産上の給付

正当事由を補完するものとして立退料や代替家屋の提供を行うことがあります。

高額な立退料を支払うことが正当事由となるのではなく、あくまで正当事由の補完に過ぎません。

裁判で更新拒絶を争う場合には、以上の4項目によって正当事由の判断が行われるのですが、

地主の正当事由が認められるのは相当にハードルが高く、実際は立退料を多めに出して合意解約するケースがよく見られます。

3.借地権の存続期間中における借地契約の終了

更新時期以外で借地権の存続期間中であっても借地契約が終了することがあります。

(1)賃貸借契約の解除

借地について賃貸借契約で、数カ月に渡る地代の不払い、地主の承諾を得る必要があるにも関わらず、借地権を譲渡したり借地上の建物を建て替えたり増改築をしたりなど、

契約違反に該当する行為があった場合には、地主は契約の解除を申入れることができます。

契約解除が成立すれば借地権の存続期間中であっても借地契約は終了となります。

(2)地上権の消滅請求

地上権の設定による借地権については、譲渡などについて地主の承諾を得る必要はありませんが、相当期間地代の不払いがあった場合には、地主は地上権の消滅請求を行うことができます。

地上権の消滅が認められれば借地権は無くなります。

(3)合意による契約の解除

地主と借地権者双方が借地契約の解除について合意することで借地契約は終了します。

また、地主と借地権者との間で契約について争いがあった場合の和解手段として金銭の授受などを条件に合意による契約の解除が行われることがあります。

(4)建物の朽廃

旧借地法の適用を受ける借地権で、借地権の存続期間の合意がなく法定期間の適用がある場合において、

借地上の建物が期間満了までに借地上の建物が朽廃した場合には借地権が消滅するという規定があります。

朽廃とは建物の老朽化が激しく、建物としての利用に供することが困難な状態のことをいいます。

しかし、実際のところ朽廃の判定は難しく、争いになることが多くあります。

朽廃による借地園の消滅を検討される場合には不動産会社や不動産に詳しい専門家などに相談されることをお勧めします。

4.まとめ

借地権を設定する際の契約、借地に関する法律、借地契約が終了する事由などから借地権の存続期間について解説してきました。

旧借地法による借地権、借地借家法の普通借地権は法定更新を前提としており、借地権者が借地契約の終了を望まない限り、地主に土地が戻ってくる可能性は低いということが分かります。

しかし、借地借家法に規定される定期借地権の登場によって、将来的には土地を返してもらいたい地主にとって安心できる不動産運用が可能となりました。

借地権の種類と存続期間を考慮に入れて、地主も借地権者も納得の上での借地制度を利用することが将来的なトラブルを防ぐことにつながります。

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